不動産投資ローンの金利相場まとめ|低金利で融資を受けるポイント

不動産投資を始める際、ローンの金利は収益性に大きな影響を与える重要なポイントです。
金利が1%違うだけでも、総返済額が数百万円変わることも少なくありません。
金融機関によって金利は異なり、都市銀行や地方銀行、信用金庫、ネット銀行などが提供する不動産投資ローンの金利相場は大きく幅があります。
また、固定金利と変動金利のどちらを選ぶかも、返済計画に関わる重要な要素です。
この記事では、不動産投資ローンの金利相場や低金利で融資を受けるための具体的なポイントについて詳しく解説します。
適切なローンを選ぶことで、投資の成功につなげましょう。
CONTENTS
【金融機関別】不動産投資ローンの金利相場
不動産投資ローンの金利は、選ぶ金融機関によって大きく異なります。
都市銀行、地方銀行、ネット銀行など、それぞれに特徴があるため、事前の比較が欠かせません。
ここでは、各金融機関別の金利相場について解説します。
都市銀行(メガバンク)の金利相場
都市銀行(メガバンク)の不動産投資ローン金利は、1.5〜3.0%程度と比較的低金利で安定しています。
この金利水準は、大手銀行ならではの信頼性と資金調達力によるものです。
一方で、審査が非常に厳しく、安定した職業、高収入、自己資金の充実度が求められます。
そもそも都市銀行とは、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3行のことです。
このなかにりそな銀行を加えることもあります。
都市銀行のローンは、都心部の投資用マンションや収益性の高い物件に適しており、長期的なキャッシュフローの改善が期待できるでしょう。
新築や築5年以内など築浅の物件も都市銀行でのローン審査に通りやすくなります。
また、固定金利と変動金利の選択肢があり、リスク回避を重視する方には固定金利、低金利を活かした短期運用を検討している場合には変動金利が向いています。
都市銀行を利用する際は、事前に計画を立て、諸費用も含めた総返済額を正確に把握することが重要です。
地方銀行の金利相場
地方銀行の不動産投資ローン金利は、2.0〜4.0%程度と、都市銀行よりやや高めの傾向があります。
しかし、地域密着型のサービスを提供しており、地元での投資物件に対する柔軟な対応が魅力です。
特に、地方の収益物件や築年数の経過した物件に投資する際に適した金融機関といえます。
地方銀行は各銀行によって不動産投資の融資に対する姿勢はさまざまです。
そのなかでも、不動産融資に積極的な地方銀行の代表例として、横浜銀行やスルガ銀行、関西みらい銀行などが挙げられます。
地方銀行では、ローン審査において物件の収益性を重視する一方で、個人の属性も考慮されるため、借り入れができる可能性が広がる場合があります。
また、金利の選択肢として固定金利と変動金利が提供されることが多く、返済計画に合わせた選択が重要です。
地方銀行を活用する際には、複数の銀行を比較し、諸費用や毎月の返済額を十分に検討することが大切です。
信用金庫・信用組合の金利相場
信用金庫や信用組合の不動産投資ローン金利は、2.5〜5.0%程度とやや高めの設定が一般的です。
地域に密着した金融機関のため、地元の投資物件や中小規模の収益物件への融資に柔軟に対応してくれます。
特に、都市部以外での投資を検討している場合や、中古物件を活用したい方にとっては良い選択肢となるでしょう。
ただし、信用金庫や信用組合によっては融資可能なエリアが狭い範囲で限定されていることがあります。
基本的には営業エリア内にある投資物件に対してのみ融資を行っているため、事前に確認しておきましょう。
また、審査基準は都市銀行や地方銀行よりも緩やかな場合が多く、借入期間や毎月の返済額についても相談できる可能性があります。
さらに、固定金利や変動金利の選択肢もあり、投資計画に合わせた柔軟な設計が可能です。
信用金庫を利用する際は、複数の機関を比較し、諸費用や金利条件を十分に検討することが重要です。
ネット銀行の金利相場
ネット銀行の不動産投資ローン金利は、1.0〜2.5%と業界内でも低い水準です。
コスト削減により低金利を実現しており、特に新築の投資用マンションや収益性の高い物件を購入する際におすすめです。
ただし、ネット銀行はオンライン専用で手続きが進むため、対面での相談が難しいケースもあります。
また、融資審査は物件の収益性や個人の信用情報を厳しくチェックする傾向にあり、注意が必要です。
金利タイプは変動金利が多く、金利が上昇する可能性を考慮した返済計画を立てることが重要です。
ネット銀行を選ぶ際は、複数の銀行を比較し、諸費用や返済期間も含めたトータルコストで判断する必要があります。
ノンバンクの金利相場
ノンバンクとは、通常の銀行のように預金業務を行わず、貸付のみを行う金融機関のことです。
ノンバンクが提供する不動産投資ローン金利は、3.0〜6.0%程度と他の金融機関と比べて高めです。
ただし、審査の柔軟さやスピーディーな手続きが大きな魅力といえます。
特に、都市銀行や地方銀行で融資が受けられない収益物件や築古物件、事業用不動産への投資を検討している場合におすすめです。
不動産投資に積極的なノンバンクの代表例として、オリックス銀行や三井住友トラスト・ローン&ファイナンスが挙げられます。
金利は高めですが、融資の審査基準が柔軟で、融資期間も長いことが特徴です。
ノンバンクでは、収益性が低い物件や属性に難がある場合でも融資が得られる可能性が高い一方、金利が高いため、キャッシュフローの改善が重要なポイントとなります。
また、返済期間や諸費用を含めた総額を慎重に計算し、借り入れを検討することが必要です。
複数のノンバンクで金利条件を比較し、計画を立てたうえで選ぶと良いでしょう。
日本政策金融公庫の金利相場
日本政策金融公庫の不動産投資ローン金利は、1.2〜2.0%と低水準です。
このため、長期的な投資を考える方や安定した返済計画を立てたい方に向いています。
公庫は政府系の金融機関であり、中小企業や個人事業主の支援を目的としているため、賃貸経営を始める方にも利用されることが多いです。
また、女性や高齢者への融資を積極的に行っています。
また、新築の投資用マンションや住宅を対象にした融資に適しており、固定金利を選べるのが特徴です。
ただし、融資までに時間がかかることがあるため、計画的な準備が必要です。
さらに、審査では事業計画書や収益性の高い物件が重視される傾向にあります。
日本政策金融公庫を活用する際は、条件をよく確認し、諸費用も含めた総額をしっかり検討してください。
不動産投資ローンの金利について
不動産投資ローンでは、変動金利と固定金利の選択肢があります。
さらに、金利の違いが総返済額に大きな影響を与えるため、慎重な検討が必要です。
ここでは、不動産投資ローンの金利の種類や重要なポイントについて解説します。
変動金利と固定金利の2種類がある
不動産投資ローンでは、主に変動金利と固定金利の2種類から選べます。
変動金利は金利市場の動向や短期プライムレートに影響を受けるため、低金利を活かした短期運用を考えている方に向いています。
ただし、金利が上昇した場合、毎月の返済額が増えるリスクがあるため注意が必要です。
一方、固定金利は契約時の金利が返済期間中ずっと固定されるため、安定した返済計画を立てやすいのが特徴です。
特に長期投資やリスクを避けたい方に向いています。
ただし、変動金利と比べて金利が高い傾向にあり、総返済額が高くなることもあります。
どちらの金利を選択するかは、金利の違いだけでなく、諸費用や総返済額も含めたシミュレーションを行い、慎重に判断してください。
それぞれの特徴を理解し、自身の投資計画に適した金利タイプを選びましょう。
金利は1%の差で総返済額が大きく変わる
不動産投資ローンでは、金利が1%違うだけで総返済額に数百万円の差が生じることがあります。
たとえば、3,000万円を2%の金利で借りた場合と3%の金利で借りた場合では、返済期間が同じでも支払総額に大きな差が生まれます。
金利 | 毎月の返済額 | |
金融機関A | 2% | 約9万9,000円 |
金融機関B | 3% | 約11万5,000円 |
このため、低金利の金融機関を選ぶことが重要です。
また、金利だけでなく諸費用や毎月の返済額も考慮し、キャッシュフローを改善できる物件を選ぶと良いでしょう。
特に、収益物件を選ぶ際には、固定金利と変動金利の選択肢や、借入期間中の市場金利の動向にも注目する必要があります。
事前に計画を立て、複数の金融機関で金利条件を比較することで、最適なローン選択が可能です。
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
不動産投資ローンと住宅ローンは、利用目的や金利、審査基準が異なります。
住宅ローンは自分が居住する家を購入する際に利用され、金利は一般的に低めです。
一方、不動産投資ローンは、収益物件を購入して家賃収入を得る目的で使用されます。
そのため、投資用ローン金利はやや高めで設定されることが多いです。
また、不動産投資ローンでは物件の収益性が審査の重要なポイントとなり、安定した家賃収入が得られるかどうかを金融機関が確認します。
一方で、住宅ローンは借り手の収入や返済能力が重視されます。
不動産投資ローンを選ぶ際は、キャッシュフローの改善を考慮し、固定金利か変動金利のどちらが適しているかを慎重に判断してください。
不動産投資ローンの金利に影響する要素
不動産投資ローンの金利は、投資の成功に直結する重要な要素です。
金利が低ければ毎月の返済額を抑え、キャッシュフローの改善につながります。
しかし、金利は一律ではなく、さまざまな要因によって変動します。
ここでは、不動産投資ローンの金利に影響を与える主な要素について解説します。
投資用物件の収益性
投資用物件の収益性は、不動産投資ローンの金利に大きく影響します。
銀行や金融機関は、物件が安定的な収益を生み出すかどうかを判断するため、物件の立地や賃料収入の実績、空室リスクなどを詳細に審査します。
たとえば、都市部の人気エリアにあるマンションは、収益性が高く評価されるため、低金利で融資を受けられる可能性が高まるでしょう。
一方、郊外や収益性が低い物件は、返済リスクを理由に金利が高くなることもあります。
そのため、物件購入前に収益シミュレーションを行い、毎月の返済額やキャッシュフローを十分に確認することが大切です。
また、同じ投資用マンションやアパートのなかでも、立地条件に優れている物件は良い条件を狙いやすいです。
築浅物件も入居者が決まりやすく、良い条件を狙えます。
物件の収益性を高めることで、より良い条件でローンを組める可能性が広がるでしょう。
個人の属性
不動産投資ローンの金利は、申込者個人の属性にも大きく影響を受けます。
金融機関は返済能力を判断するため、いわゆる属性が高い人(信用力がある人)は金利や融資額において優遇される可能性が高いです。
個人の属性を判断する主な項目は以下のとおり。
- 勤務先
- 業務内容
- 年収
- 勤続年数
- 他のローンの借り入れ状況
- 金融資産の保有状況
- 健康状態
たとえば、安定した収入が見込める公務員や大企業の正社員は、返済リスクが低いとみなされ、金利の優遇を受けやすいです。
一方で、フリーランスや勤続年数が短い場合は、リスクが高いと判断され、金利が上昇する可能性があります。
また、過去に延滞や債務整理の履歴があると、審査で不利になることも。
そのため、ローンを申し込む前に、自身の信用情報を確認し、計画を立てることが重要です。
個人属性の改善が、より有利な金利条件の取得につながるでしょう。
事業計画書の内容
不動産投資ローンの審査では、事業計画書の内容が金利に大きく影響します。
金融機関は、投資計画が現実的で利益を生み出せるかどうかを厳しく審査します。
不動産投資における事業計画書には、主に以下のような内容を記載するのが一般的です。
- 投資目的
- 代表者のプロフィール(氏名、年齢、生年月日、勤務先情報など)
- 購入する物件の概要(構造、築年数、戸数、用途地域など)
- 収支のシミュレーション
- 現在の資産と借入状況
金融機関の担当者が事業計画書で重視するポイントは、実現可能な数字かどうかです。
大きな数字をあげると、融資すること自体リスクが高いと思われます。
ご自身の年収や自己資金などから、現実的な数字を事業計画書に盛り込みましょう。
事業計画がしっかりしていれば、収益性が高いと判断され、低金利での融資を受けられる可能性が高まります。
一方で、不十分な計画書は返済リスクとみなされ、金利が上昇する要因となります。
そのため、金融機関が納得できる事業計画を立てることが重要です。
具体的な数字を示すことで信頼を得られるでしょう。
低金利で融資を受けるポイント
不動産投資ローンで低金利を実現するためには、金融機関の選定や自身の属性改善が重要です。
ここでは、低金利で融資を受けるための具体的なポイントを解説します。
不動産会社に提携金融機関を紹介してもらう
一般のサラリーマンで、預金以外で金融機関と付き合いのある方は多くないでしょう。
不動産会社に提携している金融機関を紹介してもらうことで、低金利での融資を受けられる可能性が高まります。
不動産会社が提携先の金融機関と良好な関係を築いている場合、通常よりも優遇された金利や条件でローンを組める場合があります。
また、提携金融機関は不動産投資の実績が豊富であるため、審査がスムーズに進むことがほとんどです。
さらに、不動産会社の担当者が融資手続きについてアドバイスを受けられることも。
自分で金融機関を探す手間を省けるため、効率的に融資を受けられるでしょう。
ただし、提携金融機関の条件が市場の相場と比較して適切かどうかは、必ず確認する必要があります。
複数の選択肢を検討することで、最適な融資条件を得られるでしょう。
複数の不動産投資用ローンを比較する
低金利で融資を受けるためには、複数の不動産投資用ローンを比較することも大切です。
金融機関ごとに金利や融資条件は異なるため、慎重な比較が欠かせません。
たとえば、固定金利や変動金利のどちらが適しているか、毎月の返済額がどの程度になるかを確認することで、自分の投資計画に合ったローンを見つけられるでしょう。
また、金融機関によっては融資に積極的な銀行や、事業計画書を重視するところもあります。
インターネットで条件を調べるだけでなく、不動産会社に相談することで有益な情報を得られることもあるでしょう。
比較を怠ると、後々のキャッシュフローに影響が出る可能性があるため、時間をかけて最適な選択をすることが大切です。
ローン審査前に属性を落とさない
ローン審査を通過するには、審査前に自身の属性を良好な状態に保つことが重要です。
属性とは、年収、職業、勤続年数、クレジットカードやローンの利用履歴などを指します。
たとえば、審査直前に新たな借入を増やしたり、カードの利用限度額を超えて使用したりすることは、返済能力に疑問を持たれる原因になります。
また、延滞履歴があると、審査に悪影響を与えることもあります。
審査前に不要なクレジットカードを解約し、信用情報を整理しておきましょう。
固定金利や変動金利を検討する際にも、金融機関がどのようにリスクを判断するかを理解しておくべきです。
安定した信用力を示すことで、低金利での融資を受けられる可能性が高まります。
変動金利を選ぶ
変動金利を選択することで、低金利で融資を受けられる可能性が高まります。
変動金利は、経済状況や市場の金利動向に応じて金利が変化する仕組みで、通常は固定金利よりも初期の金利が低く設定されています。
そのため、短期間での返済計画や金利が上昇しにくい時期にローンを組む場合には適しているでしょう。
また、繰り上げ返済時の違約金が設定されないことも、変動金利を選択するメリットの一つです。
繰り上げ返済を行うことで、元本の減少により返済総額を抑えられるため、将来的なことも考慮して変動金利にしておくことをおすすめします。
ただし、変動金利は金利が上昇するリスクも伴います。
金利が上がると、毎月の返済額が増加し、キャッシュフローの悪化につながる可能性があります。
そのため、借入時には返済期間や今後の金利上昇リスクを考慮し、無理のない計画を立てることが重要です。
変動金利を選ぶ際は、事前に複数の金融機関で条件を比較することも大切です。
ローンの借り換えを視野に入れる
ローンの借り換えを検討することで、現在よりも低金利で融資を受けられる可能性があります。
特に、借入期間中に市場金利が下がった場合や、他の金融機関がより有利な条件を提示している場合に有効です。
借り換えによって毎月の返済額が減少すれば、キャッシュフローの改善にもつながるでしょう。
また、返済期間を短縮することで、総返済額を大幅に抑えることも可能です。
ただし、借り換えには諸費用が発生するため、費用対効果を十分に判断する必要があります。
たとえば、手数料や違約金、登記費用などが必要になる場合があるため、事前に詳細を確認してください。
さらに、借り換え後の金利が固定金利なのか変動金利なのかによってリスクも異なることから、慎重に計画を立てることが重要です。
まとめ
不動産投資ローンの金利は、投資の収益性に大きな影響を与える重要な要素です。
ローンを組む際には、金融機関や金利タイプ、借り換えの有無など、さまざまな選択肢を検討する必要があります。
また、ローン審査に備えて自身の属性を整え、安定した返済計画を立てることも大切です。
低金利で融資を受けるためには、不動産会社の提携金融機関を利用する、複数のローンを比較する、あるいは変動金利や固定金利の特性を理解するなど、柔軟な戦略が求められます。
特に、借り換えのタイミングや諸費用の詳細を把握することで、キャッシュフローの改善や総返済額の抑制につなげられるでしょう。
不動産投資を成功させるために、ローンの選択と金利の管理を慎重に進めてください。