【専門家が解説】競売物件の購入の流れについて
こんにちは。
中山不動産株式会社です。
競売物件と聞くと不動産が安く手に入って魅力的だけれども、何かとトラブルが多く素人が安易に手を出すのは危険、そんな風にイメージする人も少なくないと思います。
しかし、不動産が安く購入できるなら検討したい人もいるでしょう。
実際、競売とはどんなものなのか、競売の流れや物件の確認方法、メリットとデメリットを解説してきます。
競売とは?その仕組みやスケジュールを知ろう!
競売物件を探すにあたり、そもそも競売の仕組みやスケジュールについて知ることで、より具体的に検討できることでしょう。
そもそも競売とは「不動産競売」のことで、住宅ローンやその他の借り入れなどをしている人が、その返済を怠ったとき、貸している側(債権者)が裁判所に申し立てることがきっかけで始まります。
裁判所がその申し立てを正当なものとして受理したならば、裁判所が物件の差押を行ったのちに競売の開始決定し、そのまま不動産の売却をしてくれるのです。
その時の売り方は入札方式で最も高額を付けた入札者に売却され、その金額は貸したお金(債権)に充当され返済されるのですね。
ちなみに法律用語としては「けいばい」と読み、テレビやラジオなどの放送用語としては「きょうばい」と読むらしく、どちらも正しい読み方だそうです。
いずれにしてもオークション形式の不動産売買なので、「競売」の文字イメージと同じと考えて問題ないでしょう。
詳しく流れを解説すると、まず、競売の申立を受理した裁判所から、競売開始決定通知が内容証明郵便にて送られてくるのが始まりです。
その後、1カ月以内に裁判所の執行官と不動産鑑定士により、物件現地調査が行われ売却基準額が決定され、裁判所にて情報が公示・公開。
細かい内容はともかく、物件住所や所有者などはここでチェックできるのですね。
その後、入札日が決定され通称「三点セット」と呼ばれる物件明細書、現況調査書、評価書が公開、ここで物件の情報を具体的に知ることができます。
入札日は入札日の決定と三点セットの公開から1カ月以内には設定されているので、そこで入札し、その2週間後くらいに開札、入札者や内容に問題がなければ落札者が決定します。
その後、代金を納付し所有権移転されれば、物件の明け渡しが行われ、晴れて不動産売買が完了するわけです。
競売のスケジュールには多少の時期の前後はありますが、裁判所に最初の情報が張り出されてから3カ月後くらいで入札日の決定、三点セットが公開されます。
その1カ月後には入札日が設定され、さらにその1カ月後には代金を支払って所有権移転される、といったスケジュール感で、予定日も記載があるので確認しましょう。
以上が競売の流れやスケジュールで、裁判所が仕切ってやるのであれば法律も守っているから一見問題が起きないように思えます。
しかし、競売には気をつけなければならない点が数多くあるのです。
競売のメリット
「競売物件はやばい」と不安に感じている人もいるのではないでしょうか。
通常物件と比べてトラブルも多いため知識がない状態で手を出すことは危険とイメージするかもしれませんが、競売物件ならではのメリットもあります。 競売物件を購入する3つのメリットについて解説します。
安く購入できる
競売物件を購入する最大のメリットが購入費用の安さです。
後ほど紹介するように、競売物件は「内覧ができない」「売主の契約不適合責任がない」などのデメリットがあり、競売市場修正として減額されています。
つまり、一般的な不動産売買と比べて法律で手厚く守られていないことからも、市場価格よりも3割ほど減額しているケースがほとんどです。 リスクの代わりに安く購入できるのも、競売物件が「やばい」と言われる理由です。
選べる物件が多種多様
不動産会社を通さずに売り出される競売物件は、一般的な不動産市場にはほとんど流通しない多種多様な物件を手に入れることができます。
売り出される物件はエリアや築年数、特徴もさまざまです。
たとえば、極端に狭い土地や特殊な形状をした土地、古いアパート1棟まるごとなど物件の種類は豊富に存在するため、特殊なニーズにも対応できます。
他にも、離島や山間部など取引の少ない物件を探している人にもおすすめです。
購入の手続きが通常物件よりもシンプル
競売物件は通常物件と比べて手続きの負担が少ないのもメリットです。
一般的な物件購入の場合、司法書士に依頼して売買契約を交わしてから代金を支払い精算するという流れですが、競売物件の購入手続きは非常にシンプルです。
所有者の移転登記や抵当権の抹消登記など複雑な手続きは裁判所が行います。 また購入者は、入札用紙と反社会的勢力に属していない旨の書類を提出してから保証金の納付、後日に残りの代金を支払えば手続きが完了します。
競売のデメリット
通常物件と比べて、競売物件は安く購入できるなどのメリットがあります。
その一方で、何かとトラブルが多いと不安に感じている人もいるのではないでしょうか。
競売物件の購入時には、いくつかのデメリットがあり注意が必要です。 特に気を付けたい7つのデメリットについて解説します。
物件の詳細が分からない
競売物件は中を見られず、外見と3点セット内の写真でしか状況が分かりません。
通常ならば内見して物件を確認、躯体や設備の使用感を確認でき、雨漏りや故障など不具合があれば契約前に把握できます。
競売物件はそれらの確認ができないので、購入してからじゃないと分からないのですね。
売主の契約不適合責任がない
不具合の有無がわからない上で、隠れた欠陥などがあった場合の責任も売主にはありません。
全て自分自身で対処しなければならないので、リフォーム前提で考えたとしても想定外の予算が必要になることも。
売主がどんな人なのか分からない
直接、契約しないので売主の人となりや家族構成すら分かりません。
どんな人が住んでいたのか、近所付き合いなどどうしていたのか、引っ越しするとなると案外気になるものです。
そしてこのデメリットが次の項目に繋がってきます。
競売後に売主が物件から出ていかない場合、立ち退きさせなければならない
売主が物分りのいい人で競売とともに引越しの段取りを進める人ならば問題ないですが、立ち退かない人ならば大変です。
権利としては所有権が買主にあるので立ち退きを要求し、それでも出ていかない場合は裁判所に申立てすれば強制執行の手続きをしたのちに強制退去させられます。
言葉だととても簡単に見えますが、申立てには費用や時間もかかりますし、強制退去は人が生活しているところに押入り、荷物を全て持ち出して追い出します。
これは費用もさることながら精神的にくるものがあり、これから新居で新生活を!という気分にならないかもしれませんね。
それらの費用は最終的に売主に請求できますが、競売にかかるということは生活的に苦しい場合が多いので、受け取るのは難しいかもしれません。
強引な方法を取らずとも、引越し代として立ち退き料を支払うのも方法ですが、本来買主にそんな義務がない上に、これも費用がどれくらいかかるのか読みづらいポイントではありますね。
買い受け手続きに現金が必要
競売に入札するときは売却基準価額の2割以上を保証金として納付する必要があります。
落札できなかったときは返金され、落札できた場合は物件代金に充当されますが、住宅ローンでいうところのフルローンなどは組めません。
必ず購入できるとは限らない
競売は入札形式で多くの人や会社が入札し、最高値の人が落札するので必ずしも購入できるのではありません。
マンションの場合、滞納中の管理費修繕費などがあれば支払う義務がある
マンションには管理費修繕費、駐車場代など毎月かかる費用がありますが、競売物件はこれらも滞納しているケースが多いです。
物件調査をした執行官が調べた範囲の滞納額は3点セットに記載がありますが、入札はその数カ月後なので金額が変わる上に、それ以外の滞納費用も隠れていることがあります。
マンションの管理会社に依頼し「重要事項調査報告書」を入手すれば正確な額面が分かりますが、1万円から2万円程度の費用がかってしまいます。
競売物件には以上のデメリットが存在し、価格が安いメリットとどう天秤にかけて考えるかが重要になりますが、やはり一般の人が手を出すには難しいかもしれません。
競売の取得代行のサービスに取り組んでいる業者もありますが、そうすると競売物件の安さのメリットが減ってしまいます。
ですから、競売にも詳しく相談に乗ってくれる不動産会社にコンサルティングを依頼するくらいが、バランスが取れていて良いのかもしれませんね。
競売物件の探し方と競売落札の動向確認方法
競売物件の管轄裁判所は地方裁判所で、愛知県内では「名古屋地方裁判所本庁」「名古屋地方裁判所一宮支部」「名古屋地方裁判所岡崎支部」「名古屋地方裁判所豊橋支部」の4ヵ所で取り扱っています。
それぞれ管轄の地域が異なるので、検討しているエリアの裁判所の情報を確認しましょう。
物件情報は2段階に分けて公表されます。
先述した通り物件住所と所有者のみの情報の公示と、詳しい情報や売却基準額が表記された3点セットの公表が行われます。
前者は正式名称を「配当要求の公告」と言い、競売申立て者以外の債権者が閲覧して配当を受ける(お金を返してもらう)申立てをするために公示され誰でも閲覧できます。
後者は管轄の裁判所、またはインターネットでも取得できます。(⇢http://bit.sikkou.jp/app/top/pt001/h01/)
こちらの「BIT」というサイトは最高裁判所からNTTデータ・スマートソーシング株式会社が依頼を受けて運営しているものです。
進行形の競売情報から、過去データの閲覧、過去データの分析で競売落札の動向まで確認できるので、「配当要求の公告」のときに気になった物件があった場合は、このサイトで確認するといいでしょう。
その他にも競売情報をまとめているサイトもあるので、確認してみてください。
競売物件のリスクを軽減する方法
不動産会社を通さずに購入できる競売物件は、「BIT(不動産競売物件情報サイト)」で公開されており、入札から物件引き渡しの流れもわかります。
しかし、簡単に手に入るからと言って、安易に手を出すことは避けましょう。
競売物件は安く購入できるなどのメリットがある一方で、いくつものデメリットも潜んでいるため、トラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。
どうしても購入したい場合は、不動産の専門家に相談してみてください。
もちろん手数料はかかりますが、購入後などのトラブルに見舞われないようにするためにも、専門家と相談しながら購入の決定をおすすめします。
まとめ
競売物件は金額が安くなるのは魅力的だけれども、なかなか素人が手を出す、それどころか不動産会社ですら痛い目を見ることもあります。
正確な知識と競売物件のさばき方に慣れ、How to がある不動産会社でなければ、取り扱いどころかコンサルティングも難しいでしょう。
本当に信用できるか、滞りなく手続きをおこなってくれるか、事前に口コミやレビューなどで情報を集めて信頼できそうな専門家を見つけましょう。
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