アパートの寿命・耐用年数は何年?減価償却との関係を詳しく解説
こんにちは。
中山不動産株式会社です。
アパート経営で長く安定的に収益を得るためのカギを握る「アパートの耐用年数と減価償却」。
アパート経営をお考えの方は、耐用年数に関して以下のような疑問を抱くこともあるでしょう。
「耐用年数を超えた物件は住めなくなるの?」
「耐用年数を迎えた物件はどうすればいい?」
この記事では、アパート経営をおこなう上で必須の知識となる耐用年数と減価償却との関係、法定耐用年数を迎えた物件の対処法について解説します。
アパート経営における悩みを解消し、安心して不動産投資を始めましょう。
アパートの耐用年数とは?
アパートの耐用年数には国税庁が定める税務上の「法定耐用年数」と、純粋に建物の寿命を示す「物理的耐用年数」の2通りがあります。
つまり、法定耐用年数はアパートの寿命とイコールではありません。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
国税庁が定める法定耐用年数のこと
アパートの耐用年数とは、一般的には国税庁が定める税務上の法定耐用年数のことです。
法定耐用年数をわかりやすく言うと「資産価値を維持できる期間」を意味します。
たとえば、耐用年数が22年の物件は22年間の価値があると見なされ、22年かけて物件購入費用を経費計上が可能です。
このような税務上の経緯から、国税庁では確定申告書の作成のために耐用年数の一覧を公開しています。
アパートの耐用年数とは、単純に物件の寿命を意味するのではなく、一般的には税務上の法定耐用年数を指し示すことを押さえておきましょう。
法定耐用年数はアパートの寿命とは異なる
法定耐用年数はあくまでも国が“税務”において価値があると認める期間のことであり、建物の寿命そのものを示すわけではありません。
建物の寿命を表すものは「物理的耐用年数」と言います。
たとえば、国税庁が定める鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年ですが、建物の寿命としては65年以上とも100年以上とも言われています。
法定耐用年数を迎えたからといって、すぐ物件に住めなくなることはありません。
実際の建物の寿命は、法定耐用年数を大きく上回ることを知っておきましょう。
法定耐用年数は融資期間の大きく影響する
法定耐用年数は融資期間に大きく関わってくることも押さえておく必要があります。
なぜなら、融資期間は法定耐用年数によって決まるからです。
たとえば、築10年の木造物件は「22年ー10年=12年」となり、金融機関からの融資期間は12年程度となる可能性が高くなります。
このように、法定耐用年数は金融機関から融資を受ける際の判断基準になることを覚えておきましょう。
とくに中古物件を購入する際は、築浅より毎月の返済額が大きくなるなど、キャッシュフローに影響があることをあわせて押さえておく必要があります。
法定耐用年数はアパートの構造で決められる
法定耐用年数は、木造や鉄骨などアパートの構造で決められています。
建物付属設備にも法定耐用年数が適用となることも含め、それぞれの耐用年数を解説します。
木造アパートの法定耐用年数
木造アパートの法定耐用年数は22年です。
木造アパートを5,000万円で建てたケースを例に減価償却を見ていきましょう。
5,000万円×0.046(償却率)=230万円
つまり木造アパートの場合、22年間は毎年230万円を経費として計上できることになり、その間の不動産取得税を節税できます。
鉄骨造アパートの法定耐用年数
鉄骨造アパートの場合、法定耐用年数は骨格材の厚みによって以下の3通りに分かれます。
- 骨格材の厚み3mm以下:19年
- 骨格材の厚み3mmを超え4mm以下:27年
- 骨格材の厚み4mm以上:34年
軽量鉄骨(厚み3mm以下)の場合、取得費5,000万円とすると19年間、毎年265万円を経費として計上できます。
鉄筋コンクリート造アパートの法定耐用年数
鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年と、他の構造に比べて期間が長くなります。
毎年の減価償却費が少なくなりますが、借入期間が長くなるのはメリットとも言えるでしょう。
5,000万円の鉄筋コンクリート造のアパートを取得した場合、47年にわたり毎年110万円を経費として計上できます。
建物付属設備にも法定耐用年数が適用
照明や給排水など、建物付属設備にも法定耐用年数が適用となります。
構造・用途 | 耐用年数 | |
給排水・衛生設備、ガス設備 | 15年 | |
アーケード・日よけ設備 | 主に金属製のもの | 15年 |
その他のもの | 8年 | |
電気設備(照明設備を含む) | 蓄電池電源設備 | 6年 |
その他のもの | 15年 | |
店舗簡易装備 | 3年 |
建物付属設備の耐用年数は最長でも15年と比較的短期間に定められています。
償却期間が短い分、返済初期の頃はとくに大きな節税効果を見込めます。
耐用年数と減価償却の関係について
物件購入費などを一定期間に分けて計上する会計処理のことを「減価償却」と言います。
この減価償却の期間を決めるのが国税庁が定める「法定耐用年数」です。
つまり両者は、アパート経営においてセットで登場する表裏一体の関係にあります。
ここでは減価償却とは何か、耐用年数が過ぎた場合のデメリットは何かを見ていきましょう。
減価償却の算出方法については以下で詳細を解説しています。
減価償却できる資産に分けて経費計上する
アパートを取得した場合、購入費を耐用年数期間内において減価償却費という名目で分割して計上できるメリットがあります。
木造アパートなら22年にわたり毎年230万円、鉄筋コンクリート造のアパートの場合は47年間毎年110万円を経費として計上可能です。
20年近くもの長期間にわたって不動産取得税を節税できるのは、株式やFXにはない、不動産投資ならではの強みです。
耐用年数が過ぎると税金が高くなる
耐用年数が過ぎるデメリットとして、税金が高くなります。
法定耐用年数を超えると減価償却ができなくなるためです。
5,000万円で木造アパートを取得し、22年間の減価償却ができると仮定しましょう。
5,000万円の取得費に対して利回り年7%の収入を期待している場合、5,000万円×7%=350万円です。
法定耐用年数の期間内であれば350万円に対し、230万円を減価償却費として経費計上できるため、課税額を大幅に抑えられます。
しかし、23年目以降は減価償却できなくなるため、納税額は大きくなります。
アパートの法定耐用年数が終わったらどうする?
法定耐用年数を超えて困らないように、法定耐用年数を迎えた際に予想される影響やデメリットを知っておくことは大切です。
法定耐用年数を超えた場合のデメリットは以下のものが挙げられます。
- 減価償却ができなくなり納税額が高くなる
- 物件を売却しにくくなる
- 金融機関の融資を受けられない可能性が高くなる
不動産投資のデメリットは事前に把握できるものが多く、あらかじめ対策を講じてリスクの回避が可能です。
ここでは、具体的な4つの解決策を見ていきましょう。
アパートの建て替えをおこなう
法定耐用年数が過ぎた物件は、建て替えをおこなうのも方法の一つです。
とくに以下の条件に当てはまる場合は、積極的に建て替えを検討する段階に入っていると言えます。
- ローンを完済している
- アパート向きの立地である
- 老朽化によって空室率が高くなっている
最大限に収益を得たあとで建て替えれば、長期的には収益を大きく伸ばせるでしょう。
大規模修繕やリフォームを施す
大規模修繕やリフォームなどメンテナンスを施すことで、実際の物件寿命を延ばして、収益をキープする方法もおすすめです。
建物の資産価値を下げないためにも、 リフォームや大規模修繕は適切なタイミングでおこなうように計画をしっかりと立てておきましょう。
法定耐用年数にとらわれず、定期的なメンテナンスで「物理的耐用年数」を延ばすよう意識することも大切です。
アパートを売却する
耐用年数を超えたのを機に、アパートの売却を検討する方は少なくありません。
とくに以下のケースに当てはまる場合は、アパートの売却を検討してもよいでしょう。
- 空室率が低い物件
- 融資を見込める魅力的な物件
空室率が低い物件は買い手がつきやすく、何より高値で売るチャンスです。
立地がよい、メンテナンスが行き届き資産価値を維持しているなど強みのある物件も、売却の検討をおすすめします。
建物を解体して更地として売却する
アパートの建て替えや売却、リフォームのどれも難しい場合は、建物ごと解体して更地として売却するのも選択肢の一つです。
以下に該当する場合は、更地にして売却する方法が有力な選択肢となります。
- アパートを建て替える資金がない
- アパート経営以外の土地活用でも収益が期待できる土地
最終手段として、「解体して更地売却」という方法があることも押さえておきましょう。
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まとめ
アパート経営をするうえで、節税やローンの借入期間と関わりの深い「耐用年数と減価償却の関係」を理解することは大切です。
知識が身につけば、自信を持って不動産投資成功への一歩を踏み出せるようになります。
また、耐用年数が経過後の物件をどう扱うのか、先々の見通しを立てておくことも欠かせません。
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