アパート経営における青色申告のメリット!特別控除を受ける条件とは
こんにちは。
中山不動産株式会社です。
アパート経営では青色申告をしたほうがメリットになるという話を耳にしたことはありませんか。
とは言っても「青色申告にどのような得があるのか?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
この記事を読めば、青色申告をすることでアパート経営者にどのようなメリットがあるのか理解できます。
青色申告の経費や控除を中心にメリットについて説明します。
青色申告のメリットを得るための条件についても分かりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
アパート経営の確定申告を青色申告をおこなうメリット
アパート経営者が青色申告をおこなうメリットは5つあります。
- 最大65万円の控除を受けられる
- 給与が経費になる
- 貸倒引当金を経費に計上できる
- 純損失の繰り越しと繰り戻しが使える
- 少額減価償却資産の特例が使える
アパート経営者のメリットについて順番に見ていきましょう。
青色申告特別控除で最大65万円の控除を受けられる
青色申告の有名なメリットに「青色申告特別控除」があります。
青色申告特別控除は最大65万円を控除する税制優遇制度です。
控除の有無や控除金額によってアパート経営者が納める税金の額は変わってきます。
控除を使えれば税金計算の元になる金額が小さくなるため、税金の額も基本的に小さくなります。
アパート経営者の税金負担が軽くなるメリットが期待できるわけです。
最大65万円の控除と言われても「具体的に税金はいくら変わってくるの?」と疑問に思うのではないでしょうか。
青色申告と白色申告でどれくらい税金負担が変わってくるか試算してみましょう。
アパート経営の売上が300万円で、専従者への給与や経費、他所得控除は発生しないものとして試算します。
この場合に白色申告をすると税額は70万円を超える計算です。
青色申告で最大65万円の控除を含めて計算すると税額はおおよそ52万円となり、約20万円も少なくなります。
実際の計算では他の控除や経費を含めて計算するため、税金額はアパート経営者によって変わってきます。
ただ、単純計算をした場合でも青色申告では節税できていることが理解できたでしょう。
青色事業専従者給与を必要経費にできる
アパート経営している方の配偶者や子どもなど、家計を同じにしている家族に支払う給与のことを専従者給与と言います。
青色申告では、家族従業員である専従者の給与を経費にできます。
対して白色申告では家族である従業員に支払う給与を経費にできません。
経費が多くなるとその分だけ税金計算の元になる金額が小さくなるため、節税効果が期待できます。
たとえば、夫がアパート経営をしている場合に妻を専従者として雇えば、妻に支払う給与を経費にすることが可能です。
貸倒引当金を設定し必要経費として計上できる
アパート経営の青色申告では貸倒引当金を経費に計上できるというメリットがあります。
貸倒金とは回収不能の債権のことで、アパート経営で回収できなかった家賃などが該当します。
貸倒引当金とは将来的に回収が難しそうな金銭債権のことです。
貸倒金になっていないが、貸倒金になる可能性が高い債権だと考えればわかりやすいかもしれません。
アパート経営では回収不能になる可能性が高い家賃などが貸倒引当金に該当します。
青色申告をするアパート経営者は将来の備えとして金銭債権の5.5%を貸倒引当金として設定し、経費に計上できるというメリットがあります。
純損失の繰越しと繰戻しができる
アパート経営の青色申告では純損失の繰り越しと繰り戻しが可能です。
アパート経営では初年度に大きな赤字が出ることも珍しくありません。
大きな赤字であればその年だけでなく翌年以降もマイナスできなかった分を使いたいと思うのではないでしょうか。
アパート経営では、赤字が出ても3年間は利益と損失の損益通算が可能です。
たとえば、アパート経営の初年度は初期投資として大きな赤字が出たとします。
1年目は大きな赤字により税金の負担を抑えることができました。
ただ、初年度の赤字が大きかったため、赤字が余ってしまいました。
この赤字を来年も損益通算できれば、翌年も節税できるはずです。
アパート経営の青色申告では3年まで赤字と利益の損益通算が認められているため、節税に役立てることが可能になっています。
少額減価償却資産の特例を活用できる
青色申告では少額減価償却資産の特例が使えます。
少額減価償却資産の特例とは「30万円未満の資産については減価償却しなくても、その年にすべて経費に計上してよい」という特例です。
経費を計上する場合は減価償却で少しずつ経費に計上します。
少額減価償却資産の特例を使えば全額一気に経費計上が可能です。
税金計算の元になる金額から一気に経費を引けるため、節税効果が高くなるというメリットがあります。
アパート経営の売上が300万円だったとします。
20万円の少額減価償却資産を買いました。
一気に20万円経費計上する場合と10万円ずつ経費計上する場合、どちらが節税になるでしょうか。
この場合は売上から多くの経費を引けるという点で、前者がより節税効果が高くなると考えられます。
青色申告をすることで少額減価償却資産の特例が使えるようになり、アパート経営でより柔軟に節税できるというメリットがあります。
アパート経営で青色申告特別控除を受けるための条件
青色申告のメリットである特別控除を受けるためには5つの条件を満たさなければいけません。
また、最大65万円の控除を受けるためには、さらに1つ追加(計6つ)の条件を満たす必要があります。
青色申告承認申請書を提出すること
アパート経営で青色申告をするためには税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
確定申告には白色申告と青色申告があり、確定申告は白色申告が基本です。
青色申告承認申請書を提出した場合のみ青色申告が可能になっています。
自動的に白色申告から青色申告に切り替わることはありません。
青色申告の特別控除を受けるためには「青色申告承認申請書」を提出し、青色申告ができる状態にしておきましょう。
5棟10室の事業的規模であること
青色申告の特別控除を受けるためには「賃貸が事業的規模である」と認められる必要があります。
事業的規模の目安は5棟10室です。
ただし、5棟10室に満たなくても賃料収入の額が大きければ事業的規模だと認められる可能性があります。
アパート経営で特別控除を受けるためには、賃料額あるいは賃貸不動産の規模から「事業的である」と認められることが条件です。
複式簿記による記帳をおこなうこと
青色申告の特別控除を使うためには複式簿記による記帳をおこなわなければいけません。
記帳の方法には単式簿記と複式簿記があります。
単式簿記はお小遣い帳のような簡単な記帳方法です。
複式簿記はより複雑な記帳方法になります。
さらに、青色申告の特別控除を受けるためには、貸借対照表と損益通算書の作成が必要です。
単式簿記だと取引やお金の流れが簡略的に記載されるため、受けられる控除の金額は10万円になってしまいます。
青色控除の特別控除を受ける場合は、お金の流れや取引をしっかり追える資料を提出する必要があることを覚えておきましょう。
現金主義ではなく発生主義で帳簿をつけること
帳簿には「現金主義」と「発生主義」の2つの方式があります。
青色申告の特別控除を受けるためには発生主義で帳簿をつけなければいけません。
現金主義は現金の支払いをした時点で帳簿の処理をする方法です。
発生主義は取引が発生したタイミングで帳簿の処理をする方法になります。
青色申告の特別控除を受けるためには、発生主義の帳簿でなければいけません。
確定申告の申告期限内に書類一式を提出すること
青色申告の特別控除の恩恵を受けるためには、確定申告の期限内に手続きを済ませる必要があります。
確定申告の期限は2月16日から3月15日です。
確定申告のはじまりや終わりが土日祝日に重なる場合は期間がずれる可能性があるため注意してください。
確定申告では所定の書類一式を提出する必要があります。
期限を守ることが青色申告のメリットを受ける条件です。
e-Taxでの申請、もしくは電子帳簿保存をすること
ここまで説明した条件を満たすことで、青色申告の特別控除55万円を受けられます。
一方で、最大65万円の控除を受けるためには、e-taxでの申請、もしくは電子帳簿保存の条件を満たす必要があります。
e-taxとは、確定申告など国税に関する手続きをインターネット上でできるシステムのことです。
電子帳簿保存とは、税務関係の帳簿や書類をデータで保存することです。
この制度を利用するためには、税務署に承認申請書を提出しなければいけません。
アパート経営の青色申告で計上できる必要経費は?
アパート経営の青色申告では経費として計上できる費用があります。
経費として計上できる費用について見ていきましょう。
アパート経営で必要経費になるもの一覧
アパート経営では次のようなものが経費になります。
必要経費になるもの | 具体例 |
---|---|
固定資産税 | 不動産を所有している場合に納める税金が固定資産税。 アパートに対する固定資産税が経費になる。 |
保険料 | アパートの火災保険や損害保険は経費に計上可能。 |
修繕費や積立費 | アパートの修繕費用は経費になる。 ただし、増築費用については減価償却費に該当するため注意が必要。 |
減価償却費 | 耐用年数に応じた減価償却費用を経費に計上できる。 |
管理費 | アパート経営の際に必要な入居者募集の費用や物件の掃除費用など管理に必要な支出は経費計上できる。 |
交通費 | アパート経営の際に必要なガソリン代や公共共通費用などは経費計上が可能。 アパート経営のセミナーなどに参加する際の交通費など。 |
租税公課 | アパート購入時の印紙税や不動産取得税など。 |
利息 | アパート購入時のローン利息は経費に計上できる。 ただし、アパートの建っている土地購入の利息は経費に計上できないため注意が必要。 |
通信費 | アパート経営に関するインターネットの費用や管理会社と連絡を取る際の電話代などは経費計上できる。 |
その他の経費 | 税理士などの接待交遊費、接待費やアパート経営に必要な印刷代といった消耗品の費用、税理士や弁護士の費用、立ち退き代などは経費計上可能。 |
アパート経営に関係するものが経費として計上できる
アパート経営の経費は「アパートの経営に関係のあるもの」を計上できます。
たとえば、近所のお店で自分のおやつ用にお菓子を買ったとします。
自分用のおやつはアパート経営と関係ないため、経費への計上は基本的にできません。
反対に、アパート経営に関係のある費用は経費として計上できます。
経費として計上可能か判断が難しい場合は税理士への相談をおすすめします。
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まとめ
アパート経営の青色申告には特別控除などのメリットがあります。
青色申告の特別控除は節税に役立ちますが、適用の条件があるため注意してください。
青色申告の特別控除を受けるための条件は帳簿や申請書の提出などです。
確定申告の経費についても細かなポイントがあります。
アパート経営の青色控除で「メリットを受けられない」とならないように、専門家に相談して進めてはいかがでしょう。
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