不動産投資における理想の利回りは何%?平均相場や最低ラインも紹介

不動産投資において重視すべき指標の一つが利回りです。
しかし、理想の利回りはどのくらいかと疑問に感じる方は少なくないでしょう。
利回りは投資の収益性を評価するうえで欠かせない指標であり、計画的な不動産投資を成功に導くための鍵といえます。
利回りは物件のタイプやエリア、築年数、管理費など多くの要因に左右されるため、正確な計算と現実的な目標設定が必要です。
この記事では、全国の不動産利回りの相場や理想的な目安、さらに最低ラインについて詳しく解説します。
また、表面利回りや実質利回りの計算方法をわかりやすく説明し、初心者でも失敗しない物件選びのポイントや利回りを高めるコツも紹介します。
この記事を通じて、不動産投資で安定した収益を得るための知識をしっかりと身につけましょう。
CONTENTS
不動産投資での理想的な利回りとは
不動産投資における理想的な利回りは、投資の成功を左右する重要な指標です。
物件価格や諸経費などが適正な利回りを決める要素となり、それらを理解することで安定した収益が見込めます。
ここでは、理想的な利回りの目安や、利回りに影響を与える要因について解説します。
理想的な利回りの目安は何%?
不動産投資における理想的な利回りの目安は、目指す目標や物件のタイプ、エリアによって異なります。
一般的には、表面利回りで5〜8%、実質利回りで3〜5%が安定した収益を得る目安とされています。
ただし、都市部のワンルームマンションは表面利回りが4〜6%程度と低めになりやすい一方、地方の中古物件では10%以上を目指せるケースもあります。
諸経費や空室リスクを加味した実質利回りを重視することが重要です。
期待する利回りに見合った物件を選ぶ際は、購入価格や年間の家賃収入、管理費のバランスを確認する必要があります。
これらを総合的に判断し、自分の投資目的に合った利回りを設定しましょう。
物件タイプ別に不動産投資の理想的な利回りをまとめました。
あくまで目標とすべき目安であり、利回りは地域や築年数によって変動します。
物件タイプ | 理想の利回り |
区分マンション | 新築:3~4%築20年程度:6%築20年以上:7~8% |
一棟マンション・アパート | 新築一棟マンション:6%中古一棟マンション:7~8%新築一棟アパート:8%中古一棟アパート:9~10% |
戸建て | 新築:10%中古:15% |
利回りに影響を与える主な要因
不動産投資で理想的な利回りを実現するためには、複数の要因を正確に把握することが大切です。
物件価格はその最たる要素で、高額な物件ほど表面利回りが低下する傾向にあります。
空室リスクも利回りに大きな影響を与える要素の一つです。
賃貸物件において入居者がいない期間が長引くと、年間の家賃収入が減少し、実質利回りが下がる原因になります。
築年数の経過による修繕費の増加や管理会社への手数料も収益に影響します。
立地条件についても利回りが変動する要因です。都市部の物件は賃貸需要が高いものの、物件価格が高いため利回りは低くなりがちです。
一方で、地方物件は利回りが高い傾向にあります。
金融機関からの借り入れ条件や市場の動向も重要な要素です。
不動産投資を成功させるには、バランスの取れた物件選びが鍵となります。
短期的な利益だけでなく、長期的な収益性を視野に入れることが重要でしょう。
不動産投資における利回りの計算方法
不動産投資において利回りは、物件の収益性を評価するための基本指標です。
しかし、利回りにはいくつかの種類があり、それぞれ計算方法や用途が異なります。
ここでは、表面利回り、実質利回り、想定利回り、現行利回りの計算方法について解説します。
表面利回り(グロス)
表面利回り(グロス)は、不動産投資における基本的な収益指標です。
この利回りは、物件の年間家賃収入を購入価格で割り、その結果を百分率で表します。
計算式は以下の通りです
表面利回り(%)=(年間家賃収入 ÷ 購入価格)× 100 |
たとえば、購入価格が2,000万円で年間家賃収入が120万円の場合、表面利回りは6%となります。
この数値は投資の収益性を大まかに判断するのに便利です。
ただし、管理費や諸経費、空室リスクなどのコストは考慮されていないため、実際の収益性を示すものではありません。
表面利回りは目安として活用し、投資の具体的な判断には実質利回りなどの指標も併せて確認することが重要です。
実質利回り(ネット)
実質利回り(ネット)は、不動産投資の実際の収益性を評価するために重要な指標です。
この利回りは、表面利回りと異なり、年間家賃収入から管理費や修繕積立金、固定資産税などの諸経費を差し引いた後の収益を基に計算します。
計算式は以下の通りです。
実質利回り(%)=(年間家賃収入-諸経費)÷ 購入価格 × 100 |
たとえば、年間家賃収入が120万円で、諸経費が20万円、購入価格が2000万円の場合、実質利回りは5%となります。
この数値は実際の収益性を正確に把握するために役立ちます。
諸経費には、保険料やローン事務手数料、各種税金などが含まれます。
空室リスクや修繕費が利回りに与える影響を考慮することで、投資の妥当性を判断しやすくなるでしょう。
実質利回りを確認する際は、費用の見落としがないよう注意が必要です。
想定利回り
想定利回りは、不動産投資の収益性を見積もるために使用される指標です。
この利回りは、購入予定の物件が賃貸として運用された場合の年間家賃収入をもとに計算されます。
複数の部屋がある物件で、満室を想定するために用いられることが多い利回りです。
計算式は以下の通りです。
想定利回り(%)=(想定年間家賃収入 ÷ 購入価格)× 100 |
たとえば、物件価格が2500万円で、年間の想定家賃収入が150万円の場合、想定利回りは6%となります。
この数値は、物件購入前の収益性を把握する際に役立ちます。
ただし、実際の運用では空室リスクや管理費、修繕費用などが発生するため、実際の収益とは異なる可能性があります。
そのため、想定利回りは投資判断の初期段階で参考にする数値として捉え、詳細な調査や計算を行うことが重要です。
現行利回り
現行利回りは、現在の賃貸状況をもとに算出される利回りで、投資物件の実際の収益性を把握するための重要な指標です。
この利回りは、年間の実際の家賃収入を基に計算しますが、空室リスクや未回収賃料なども反映されるため、想定利回りや表面利回りとは異なるリアルな収益性を示します。
計算式は以下の通りです。
現行利回り(%)=(現行年間家賃収入 ÷ 購入価格)× 100 |
たとえば、年間家賃収入が100万円で、物件価格が2,000万円の場合、現行利回りは5%となります。
現行利回りは、実際の運用状況に基づいて投資のパフォーマンスを評価できるため、購入を検討する際の重要な判断材料になるでしょう。
また、空室リスクを加味して今後の収益予測を立てることも不可欠です。
不動産利回りの相場と理想的な目標設定
不動産投資を成功させるためには、全国の利回り相場を把握し、自身の目標に合った設定を行うことが重要です。
不動産利回りは地域や物件タイプ、価格帯によって異なります。
平均的な利回りを理解し、それを基準に投資計画を立てることでリスクを軽減しやすくなるでしょう。
ここでは、全国の不動産利回り相場と最低ライン、物件タイプ別の利回りの違い、そして投資物件の価格帯ごとの利回り差について解説します。
全国の不動産利回り平均相場と最低ライン
不動産投資を検討する際、全国の利回り平均相場を把握することは重要です。
不動産利回りは地域や物件の種類によって異なりますが、全国平均の表面利回りは5〜8%程度とされています。
一方で、実質利回りでは3〜5%程度が現実的な範囲となります。
都市部では、物件価格が高いため利回りが低く、表面利回りで4〜6%程度となるケースがほとんどです。
一方、地方では物件価格が安く設定されるため、利回りが10%以上になる場合もあります。
ただし、空室リスクや管理費用の増加が懸念されるため、実際の収益性を正確に把握することが重要です。
投資の最低ラインを見極める際には、期待利回りと現行利回りを比較しながら判断すると良いでしょう。
地域 | 区分マンション | 一棟アパート | 一棟マンション |
全国 | 6.63% | 8.18% | 7.87% |
北海道 | 11.78% | 12.01% | 8.59% |
東北 | 13.76% | 12.89% | 10.53% |
首都圏 | 6.07% | 7.50% | 6.89% |
信州・北陸 | 17.44% | 15.01% | 13.78% |
東海 | 8.97% | 8.79% | 9.58% |
関西 | 6.92% | 9.25% | 7.99% |
中国・四国 | 12.67% | 11.45% | 12.13% |
九州・沖縄 | 8.60% | 10.30% | 9.38% |
物件タイプ別の利回りの違い
不動産投資では、物件のタイプによって利回りに大きな違いが生じます。
たとえば、ワンルームマンションの平均的な表面利回りは4〜6%程度で、都市部ではさらに低くなる場合があります。
一方、ファミリータイプのマンションでは、表面利回りが3〜5%程度とさらに控えめな傾向があります。
ただし、ファミリー向け物件は長期的に安定した需要が見込める点が特徴です。
これに対し、地方の一戸建てや中古物件では、表面利回りが8〜10%以上と高めになることがあります。
物件価格が低い分、高い利回りが実現しやすい一方、空室リスクや修繕費用の発生に注意が必要です。
物件タイプごとの特徴を理解し、自分の投資目標に合った選択をすることが大切でしょう。
投資物件の価格帯ごとの利回り差
投資物件の価格帯によって利回りには大きな差が生じます。
これは、物件価格と賃料収入のバランス、また諸経費や運用コストに依存するためです。
たとえば、価格が高い物件は一般的に安定した賃貸需要があり、空室リスクが低いことから、低利回りでも収益が安定しやすい傾向にあります。
一方、低価格帯の物件は利回りが高めに設定されやすいものの、賃貸需要の変動や管理費の増加によるリスクが考えられます。
以下は価格帯ごとの一般的な利回りの傾向です。
物件価格帯 | 平均利回り | 特徴 |
3,000万円以下 | 8~12% | 利回りは高いが、築年数が古い物件が多く、修繕費用が増加するリスクあり |
3,000~5,000万円 | 6~9% | 中間価格帯であり、利回りと安定性のバランスが良い。エリア選びが重要 |
5,000万円以上 | 3~6% | 高価格帯物件は利回りが低いが、賃貸需要が安定しており長期的な投資に適している |
価格帯が低いほど利回りは高くなる傾向にありますが、初期費用や維持管理コストを考慮するなど、実質利回りを正確に把握することが重要です。
また、購入価格だけでなくエリアの特性や築年数も検討する必要があります。
投資対象として適切な物件を選ぶには、単に利回りの高さだけでなく、長期的な収益性やリスクも慎重に評価してください。
理想的な利回りを実現するための考え方
不動産投資において理想的な利回りを実現するには、相場を把握し、正確な情報を基に慎重に判断することが重要です。
リスクを回避し、安定した収益を得るための考え方を整理しましょう。
ここでは、理想的な利回りを実現するためのポイントを解説します。
相場よりも極端に高い利回りは鵜呑みにしない
不動産投資を成功させるには、利回りの妥当性を見極めることが重要です。
特に相場よりも極端に高い利回りを提示された場合は、注意が必要でしょう。
これらの物件には高い空室リスクや過大な初期費用が隠れている可能性があります。
「立地が悪い」「築年数が古い」「耐震性が低い」などの理由から物件価格が安く、高利回りになっているかもしれません。
また、経費が含まれていない表面利回りを基に提示されることも多く、実際の収益は想定よりも低くなるケースが少なくありません。
そのため、物件価格や年間の家賃収入をもとに、実質利回りや想定利回りを再計算することが大切です。
不動産の購入を検討する際は、複数の物件を比較し、日本不動産研究所などの調査データも参考にすることで、リスクを最小限に抑える判断が可能になります。
経費の入っていないシミュレーションに注意する
不動産投資の収益計算を行う際、経費を考慮していないシミュレーションには注意が必要です。
表面利回りだけを見ると、高い収益性が期待できるように感じられる物件でも、実際には管理費や修繕費、空室リスクなどの諸経費が発生します。
これらを計算に入れないと、理想とかけ離れた結果になりかねません。
たとえば、年間の家賃収入を基に表面利回りを算出している場合、実質利回りを計算し直すことで、現実的な収益性が見えてきます。
また、不動産の築年数や物件価格によって経費の割合も異なるため、注意が必要でしょう。
信頼できるデータを基に、詳細なシミュレーションを行い、購入を検討することが重要です。
表面利回りだけで判断しない
不動産投資では、表面利回りだけを基準に物件を判断するのは危険です。
表面利回りは年間の家賃収入を物件価格で割った単純な指標で、経費や空室リスクが反映されていません。
実際には管理費や修繕費、ローン返済額などが収益を大きく削ります。
そのため、実質利回りを計算し、収益の正確な予測を行うことが大切です。
また、想定利回りが提示されている場合は、過去の家賃相場や入居率もチェックしてください。
不動産の築年数や地域特性によって、表面利回りは大きく異なります。
これらを踏まえたうえで、リスクを最小限に抑える投資判断を心がけましょう。
利回りの高さだけで物件を選ばない
不動産投資では、利回りの高さだけで物件を選ぶのは危険です。
利回りが高い物件には、空室リスクや築年数が古いことによる修繕費の増加が伴う場合があります。
また、物件価格が相場よりも安い場合、立地条件や需要に問題があることも考えられるでしょう。
さらに、実質利回りや諸経費を考慮しないシミュレーションでは、理想の収益に届かない可能性が高まります。
利回りだけでなく、購入価格、周辺の賃貸需要、不動産市場の動向などを総合的に判断することが重要です。
資産価値の高い物件は物件価格が高いことが多く、低利回りなことはほとんどありません。
一方で、立地条件が優れておりニーズに合った設備が整っている物件は、賃貸物件として人気が高く空室リスクが低い傾向にあります。
このような物件は利回りが高くなくても、家賃収入が安定して手に入るため、投資対象として優れています。
不動産投資で利回りを上げるポイント
不動産投資で利回りを上げるには、購入する物件の特徴や経費管理、ローンの見直しが鍵となります。
適切な判断を行うことで、収益性を向上させられるでしょう。
ここでは、利回りを上げるための具体的なポイントを解説します。
地方の中古物件を選ぶ
地方の中古物件は、購入価格が低いことから初期費用を抑えやすく、利回りの向上が期待できます。
物件価格が低いため、初期費用を抑えつつ、収益物件としてのポテンシャルを高めやすいのが特徴です。
家賃相場に対して物件価格が低い地方物件では、不動産利益率の向上が期待できます。
しかし、地方特有の空室リスクや賃貸需要の低さには注意が必要です。
地方物件には空室リスクや賃貸需要の変動といった特有の課題も存在します。
物件の築年数や地元の人口動態、将来的な地域の成長性をしっかり調査したうえで投資対象を選ぶことが重要です。
また、管理費や修繕費などの諸経費を考慮し、実質利回りを正確に把握することも欠かせません。
日本不動産研究所のデータを活用するなど、信頼できる情報を基に計画を立てることで、成功する投資を目指せます。
自己資金を多く入れる
自己資金を多く入れることで、不動産投資における利回りを向上させることが可能です。
借入金額が少なくなるため、ローン返済による毎月の負担を軽減でき、実質利回りが改善されます。
また、自己資金を増やすことで物件価格に対する初期費用の割合が抑えられ、投資リスクの低減にもつながります。
ただし、自己資金の投入額が大きいほど資金回収に時間がかかるため、利回りの目安を把握しつつ、適切な配分を検討する必要があります。
また、修繕費や管理費などの諸経費を計算に入れたシミュレーションを行い、想定利回りと実質利回りを比較することが大切です。
信頼できるデータを活用し、安定した収益を目指しましょう。
管理会社の比較をする
不動産投資で利回りを最大化するには、適切な管理会社を選ぶことが重要です。
管理会社によって、管理費の水準やサービス内容が異なるため、事前の比較検討が欠かせません。
管理費用が割高な会社を選ぶと、収益が圧迫され、実質利回りが低下する恐れがあります。
さらに、入居者対応や修繕管理などの品質が低い管理会社では、空室リスクが高まり、家賃収入が減少する可能性も考えられるでしょう。
複数の会社の実績や評判を調査し、信頼性の高いパートナーを見つけることが大切です。
また、年間の家賃収入を正確に計算し、管理会社の手数料が適正かを見極めるようにしましょう。
ローンの借り換えを検討する
不動産投資において、ローンの借り換えは利回りを改善する有効な方法です。
現在の金利よりも低い金利のローンに切り替えることで、毎月の返済額が減り、実質利回りが向上します。
また、借り換え時に手数料や諸経費が発生するため、これらを加味した上で総合的なコストを比較検討することが重要です。
さらに、ローンの条件を見直す際には、投資対象の物件価格や年間の家賃収入に基づいたシミュレーションを行いましょう。
築年数や空室リスクも考慮し、リスクを抑えつつ利回りを最大化できる選択をすることがポイントです。
信頼できる金融機関の相談窓口を活用し、最適な借り換えプランを見つけてください。
ローンの繰り上げ返済を考える
資金に余裕がある方は、ローンの繰り上げ返済も利回りを上げる手段の一つです。
ローンの繰り上げ返済は、不動産投資における利回りを向上させる効果的な方法です。
元金を早期に減らすことで、支払利息の総額を削減でき、実質的な収益性が向上します。
また、月々の返済負担が軽減されるため、空室リスクや突発的な修繕費用への備えにも余裕が生まれるでしょう。
ただし、繰り上げ返済を行う際には、手持ち資金とのバランスを検討する必要があります。
資金不足で他の投資チャンスを逃す可能性があるため、利回りの目安をもとにシミュレーションを行うことが大切です。
さらに、ローン条件や手数料の有無についても確認し、最適な繰り上げ返済のタイミングを見極めてください。
まとめ
不動産投資で理想の利回りを実現するには、慎重な計画と正しい判断が求められます。
物件価格や空室リスク、築年数などの要素を総合的に考慮し、実質利回りを基に収益性を分析しましょう。
また、自己資金の投入やローン条件の見直し、管理会社の選定といったポイントを抑えることで、利回りを向上させることが可能です。
利回りは重要な指標の一つですが、その物件の収益を保証するものではありません。
高利回りありきの物件を選ぶのではなく、その他の条件も含めて総合的に判断しましょう。
ご自身で選ぶのが難しい場合は、不動産投資のプロからサポートを受けることをおすすめします。
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