不動産投資で会社設立するメリット|法人化のタイミングや手順を解説
こんにちは。
中山不動産株式会社です。
「不動産投資は会社設立するほうがメリット多いって本当?」
「個人で不動産投資をしているが、法人に変更できるのか?」
「副業でしている不動産投資って法人化するべき?」
など、不動産投資で会社を設立するかどうかで悩んでいませんか。
このページでは不動産投資における「会社設立」について、不動産投資で会社設立する3つのメリットと2つのデメリットについて解説します。
これさえ読めば、不動産投資における会社設立の基礎知識はバッチリです。
不動産投資の会社設立とは?
副業で始めた不動産投資が順調に利益を出し、今後もっと力を入れていこうと思ったときに、個人事業主から「会社設立」を考える人もいるでしょう。
不動産投資における会社設立とは、不動産に投資をして不動産所得が高額になり「資産管理会社」を設立することです。
資産管理会社を設立すること
資産管理会社とは、プライベートカンパニーとも呼ばれます。
主に、不動産や預貯金を含む現金、債券、株式などの資産を管理するための会社のことです。
資産管理会社を作ることは大切な資産を守るための効果的な手段です。
また、資産管理会社を設立することで、融資をする金融機関は個人ではなく企業に投資をするということになり信用度が変わります。
日本では、所得や資産が多い人ほど納税の負担が大きくなる超過累進税率です。
所得が一定を超えると資産管理会社を設立するほうが、個人事業主として払う所得税の税率よりも法人税の税率のほうが低くなり税負担を軽減できます。
法人化すると経費として認められる範囲も広くなるのもメリットです。
法人化と個人運営の違い
不動産投資の法人化と個人運営の違いは以下のとおりです。
法人化 | 個人運営 | |
投資物件の所有者 | 会社の持ち物 | 個人の持ち物 |
入居者が契約する相手 | 会社と契約 | 個人と契約 |
金融機関からの融資 | 会社が申し込んで借りる | 個人が申し込んで借りる |
不動産投資の収入 | 会社に入る | 個人に直接入る |
法人化と個人経営の大きな違いは、不動産投資の収入が全額個人に入るかどうかです。
個人なら直接入りますが、法人化をすると会社から役員報酬として受け取ります。
また、個人運営の場合、税務署に開業届を出すだけで問題ありません。
法人化するには、定款の作成・法人登記など手続きが複雑になります。
一方で、法人化すると節税対策や融資を受けやすくなるなどのメリットがあり、会社設立を検討してみましょう。
不動産投資で会社設立するメリット
不動産投資で会社成立することはメリットもとても多いため、最初から法人化を検討する人も少なくありません。
不動産投資で会社を設立するメリットは「節税対策」「融資」「相続や資産継承」の3つの点でメリットがあるので一つひとつ解説します。
メリット①節税対策ができる
法人の場合は法人税が適用されるので節税対策になります。
日本では個人事業主の場合、収入が大きくなればなるほど税率が上がります。
所得が大きくなると所得税と住民税をあわせて最大で55%の税率になります。
それに対して、法人は最大約38%程度の税率です。
収入が同じ場合、法人化をして法人税を支払うほうが、税率は低く結果的に手元に残るお金は多くなります。
まとまった収益がある場合や、本業での収入がある場合は法人化にしたほうが節税効果の面で見るとが高くなるでしょう。
メリット②融資を受けやすくなる
個人よりも法人のほうが金融機関からの信用が高くなります。
法人で不動産を購入することは、「賃貸経営の事業」とみなされます。
法人はあくまでも利益を求める団体です。
個人での投資に比べると融資額は大きく変わります。
個人で追加融資を受けるのは難しいですが、法人の場合は融資を受けた実績を積むことで融資はどんどん受けやすくなるのがメリットです。
金融機関は、事業拡大に協力的なところが多く、金利も融資額も不動産投資に有利に働くことでしょう。
メリット③相続や資産継承がスムーズにできる
法人化すると相続や資産継承がスムーズにできます。
個人の財産を配偶者や子どもに相続させようとすると相続税が発生します。
しかし法人化したときに、配偶者や子どもを法人の役員にし役員報酬を支払うようにすると、生前贈与と同じようなかたちにも関わらず相続税がかかりません。
そうすることで相続税がかからず、資産を移動させることができます。
自分に何かあったときには、相続税や贈与税がかからないのは大きいメリットです。
不動産投資で会社設立するデメリット
ここまで不動産投資で会社と設立するメリットの説明をしましたが、デメリットもあります。
法人化するためには設立手続きが必要であり、その手続きも個人で行うものと比べると複雑です。
さらに中長期での投資目的には向かない可能性があるという2点がデメリットです。
デメリット①設立手続きが必要
法人として会社を設立するためには手続きが必要です。
会社設立の手順は以下のとおり。
- 不動産投資会社の所在地や社名、発起人や役員などを決める
- 出資金と会社設立費用を準備する
- 銀行印や社印、実印などの会社に関する印を作成する
- 定款を作成し、認証を受ける
- 資本金を口座に振り込む
- 登記書類を用意し、法務局にて申請手続きを行う
やはり法人として会社を設立するのは、手続きが複雑で時間も手間もかかります。
少し費用は掛かりますが、多忙で時間がない場合は司法書士に依頼する方法もあります。
すべてを一人でする必要もありませんし、専門家にお願いすることで不備なくスムーズに法人化できるでしょう。
デメリット②中長期での投資目的には向いていない
不動産投資には、家賃収入を目的とするのか、売却益を目的にするのかの2つの方法があります。
実は法人化する場合、中長期での投資目的にはメリットは少なく向いていません。
不動産投資は、5年以内で売却する短期間譲渡の場合と、5年以上不動産を保有し売却した場合では税率が変わります。
個人の場合、長期譲渡所得の優遇制度が受けられるのですが法人ではこの制度を利用できないからです。
賃貸での収入を目的とし基本的に不動産の売却を検討しないのであれば、法人は個人より不利な税率となる場合があります。
下記関連記事では、個人における不動産投資の長期譲渡所得にかかる税金の税率などの知識を詳しく紹介しています。
法人化して会社設立をするタイミング
不動産投資の法人化には、メリットもあればデメリットもあります。
そのため、会社設立のメリットが高まったタイミングで法人化を検討してみましょう。
法人化を考える際に、目安となるのが毎年課される税金です。
法人税は毎年一定であるのに対して、所得税は所得に応じて税率が上がります。
つまり、所得税の税率が法人税を上回ったときが、不動産投資で会社設立をするタイミングです。
法人税と所得税の税率を比較してみましょう。
【所得税率】
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000~194万9,000円 | 5% | 0円 |
195万5,000~329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
330万~694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
695万~899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
900万~1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万~3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
【法人税率】
区分 | 税率 |
---|---|
年800万円以下の部分 | 15% |
年900万円超の部分 | 23.2% |
法人税率と所得税率が逆転するのは課税所得900万円を超えたあたりです。
また、不動産所得が800万円以下であれば、法人税率は15%になります。
個人の所得が330万円を超えたタイミングで法人化を検討するとよいでしょう。
不動産投資で会社設立するまでの手順
以下では、不動産投資で法人化するまでの手順を紹介します。
現在不動産経営をおこなっている人や、これから副業として不動産投資を考えている人は、参考にしてみてください。
ステップ①法人の種類を決める
まずは、設立する法人の種類を決定します。
法人化は株式会社のほかにも「合同会社」「合資会社」「合名会社」など複数の種類があります。
それぞれの特徴や違いを理解したうえで、法人の種類を決めましょう。
株式会社 | 合同会社 | 合資会社 | 合名会社 | |
---|---|---|---|---|
種類 | 株式 | 持分 | 持分 | 持分 |
資本金 | 1円以上 | 1円以上 | 下限なし | 下限なし |
出資者 | 1名以上 | 1名以上 | 2名以上 | 2名以上 |
設立費用 | 25万円~ | 6万円~ | 6万円~ | 6万円~ |
意思決定方法 | 株主総会 | 社金の過半数 | 社員の過半数 | 社員の過半数 |
決算公告義務 | あり | なし | なし | なし |
上場の可否 | 可 | 否 | 否 | 否 |
役員任期 | 規定あり | 無期限 | 無期限 | 無期限 |
ステップ②会社設立のための準備をする
法人の種類を決めたら、以下のように設立する会社の概要を定めます。
- 商号
- 本店の所在地
- 資本金の額
- 発起人(出資者)
- 各発起人の出資額
- 事業目的
ほかにも、会社設立の準備として代表印・社印・銀行印の作成も必要です。
代表印は1辺の長さが1cm超3cm以内の正方形とサイズに定めがあるため、間違わないようにしましょう。
ステップ③約款の作成と・認証をおこなう
定款とは、法人を運営するうえで基本となるルールのことです。
内容はステップ②で定めたものと重複するものもありますが、以下を記載する必要があります。
- 商号
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名または名称および住所
- 事業目的
- 発行可能株式総数
会社法に則って作成するなど難易度が高く手間がかかるため、司法書士に作成を依頼するのが一般的です。
司法書士に依頼する場合、30万円程度の費用がかかります。
ステップ④登記書類を作成し申請する
次に、会社登記をするために申請書類を作成します。
必要書類は会社の形態によってさまざまですが、すべての会社に必要な書類は以下の7点です。
- 登記申請書
- 登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
- 登記すべき事項
- 定款(紙または電子定款)
- 取締役の就任承諾書
- 払込証明書
- 印鑑(改印)届出書
提出書類が準備できたら、法務局で必要書類を提出して手続きをおこないます。
会社の設立は、基本的に法務局に登記申請書を提出した日となります。
ステップ⑤法人の開業届を提出する
法人の設立登記が完了したら、税務署で法人の開業届を提出しましょう。
開業届が受理されると法人化が完了するため、以下の書類を持って税務署へ出向いてください。
- 登記簿謄本
- 定款の写し
- 株式名簿の写し
- 会社設立時の貸借対照表
- 出資者の氏名、出資金額の証明書類
また、法人の開業届を提出するとともに、個人の廃業手続きもおこないましょう。
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まとめ
不動産投資を行っていて、個人から法人に切り替えると税金など多くの費用がかかります。
「最初から法人として会社設立をしておけば良かった」「不動産投資を始めるときにそんな知識がなかった!」と思う人もいるかもしれません。
まずは、将来を視野に入れながら会社設立を検討しましょう。
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