東京都23区中古マンション再販市場、限界に近づく出口価格の現状
中古マンションの買取再販業界は、近年物件仕入れ競争が激化しているといわれています。
マンションリサーチ株式会社では、東京都における中古マンション再販市場の動向を詳しく調査しました。
調査概要
- 調査期間:2020年1月~2024年10月
- 対象エリア:東京都
- 物件種別:実需向けマンション(50㎡以上)
- 調査方法:中古マンション売出事例を集計
調査結果の概要
供給量の変化
2024年第二四半期以降、東京都における再販マンションの新規売出件数が減少に転じました。一方で、
中古マンション全体の流通量は2024年第三四半期に大幅増加。
この矛盾する動きの背景には、マンション価格の高騰が挙げられます。
仕入れ価格が上昇する一方で、再販価格が市場の需要に対して割高となり、仕入れが難航していると分析されます。
新規売出件数の推移
2020年のコロナ禍以降、再販マンションの新規売出件数は増加し横ばいで推移していましたが、2024年第二四半期から
減少傾向が顕著となっています。
成約坪単価の高騰
再販マンションの平均成約坪単価は、2020年第一四半期以降一貫して上昇し続けています。
特に2024年第二四半期以降はさらに大きく上昇し、現在の価格が市場での購入可能な上限値に達していると考えられます。
これが、新規売出件数の減少を引き起こす一因となっています。
中古マンション全体の供給と再販物件の割合
中古マンション全体の新規売出件数は2024年第三四半期に大幅に増加しましたが、再販マンションの件数は減少しており、
その割合も縮小しています。
このことから、再販マンションの仕入れ難易度がさらに上昇していることがうかがえます。
総括
中古マンション買取再販市場は、不動産仲介業者の参入が増加し、熾烈な仕入れ競争が続いています。
しかし、消費者が購入可能な価格の上限に近づく中、再販市場における供給量は減少。
今後、参入には緻密な出口戦略が求められ、計画性のない投資は大きなリスクを伴うといえます。
筆者プロフィール
福嶋 真司(ふくしま しんじ)氏
- 所属:マンションリサーチ株式会社 データ事業開発室 不動産データ分析責任者
- 経歴:早稲田大学理工学部卒業後、大手不動産会社にてマーケティング調査を担当。その後建築設計事務所で法務・労務を担当。現在は不動産市場調査や指標の研究・開発に従事し、顧客企業の意思決定を支援。
FUKUSHIMA RESEARCH INSTITUTE
代表研究員としても活動中。
引用・詳細はこちら「KENBIYA」