サブリース契約とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説!
こんにちは。
中山不動産株式会社です。
不動産投資が初めてのオーナーのなかには、「空室リスクが怖い」「家賃収入が安定しない」など、経営をするうえで不安に感じている方も少なくないでしょう。
そんな初心者オーナーに注目されるのがサブリース契約です。
しかし、サブリース契約はオーナーにとってメリットがある一方で、デメリットも多いため、サブリース契約とはどのような内容なのか把握しておくことが大切です。
この記事では、サブリース契約で注意すべき点をわかりやすく解説します。
サブリース契約とは?
そもそもサブリース契約についてどこまで理解できているでしょうか。
まずは、簡単にサブリース契約とは何かについて種類や費用相場を解説します。
サブリース契約の仕組み
サブリース契約とは、オーナーが保有するマンションを不動産会社が一括借り上げして、さらにそこからサブリース業者が入居希望者に部屋を貸し出すことです。
サブリース業者と入居者間で賃貸契約が成立するため、オーナーが入居者から直接家賃を受け取ることがない代わりに、サブリース業者から物件の賃料を受け取れます。
この賃料がオーナーの主な収入源となります。
サブリース契約の種類
サブリース契約の形態には、大きく2種類に分けられます。
賃料固定型
一般的なサブリース契約としてイメージされるのが「賃料固定型」です。
家賃保証型とも呼ばれる形態で、物件のオーナーが受け取れるリース料が固定されています。
実績賃料連動型
安定したリース料が受け取れる賃料固定型に対して、実績賃料連動型は入居者が実際に支払う家賃に応じて受け取れるリース料が異なるサブリース契約の形態です。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、しっかりと比較検討しましょう。
サブリース契約の費用相場
サブリース契約では、サブリース業者がオーナーに代わって投資物件の管理業務をするため、その手数料として「管理費」を毎月支払う必要があります。
つまり、オーナーは入居者の家賃を100%受け取ることができません。
手数料は委託方式によって異なり、賃料固定型の場合は家賃収入の10~20%程度、実績賃料連動型は5~10%程度をそれぞれサブリース業者に支払います。
サブリース契約を結んだ場合に受け取れる家賃収入の目安は以下のとおり。
- 賃料固定型・・・・・家賃収入の80~90%程度
- 実績賃料連動型・・・家賃収入の90~95%程度
また、建物のメンテナンスにかかる費用はオーナー負担となっています。
サブリース契約のメリット
サブリース契約がオーナーにどのようなメリットがあるのかを解説します。
メリットを理解したうえで、サブリース契約をするかしないか検討しましょう。
管理業務を一括で任せられる
アパート経営をする際、「入居者募集」から「賃貸契約の締結」「家賃回収」「入居者の対応」「建物のメンテナンス」まで、さまざまな管理業務が発生します。
サブリース契約をすることで、このような物件の管理・運営を一括でサブリース業者に任せられるため、オーナーはそうした事務の手間から解放されるのがメリットです。
ただし、管理を委託した状態でも、物件の状況は把握するようにしましょう。
空室・滞納リスクを回避できる
不動産投資における最大のデメリットが空室リスクでしょう。
一般的な管理契約では、投資物件に空室があればオーナーの収入は減少しますが、サブリース契約は空室があっても一定の賃料を安定して得ることが可能です。
そのため、空室の発生により見込んでいた賃料収入が得られず、ローン返済の支払いに回せないなど、キャッシュフローに影響を及ぼす心配もほとんどありません。
また、家賃滞納者への対応をする必要がないこともメリットと言えます。
下記関連記事では、不動産投資のリスクとその対策を詳しく紹介しています。
リスクを把握し、危機的状況に陥ってしまわないための回避方法を知っていれば、必要以上に恐れることはなく対応できますので、ぜひ参考にしてください。
確定申告の簡素化
家賃収入は不動産所得にあたるため、毎年の確定申告が必要です。
一般的な管理契約では入居者の人数で収入が変化したり、入居や退去のたびに税金の処理を必要としたりなど、書類の作成や計算に手間がかかります。
しかし、サブリース契約なら毎月入ってくる家賃収入が決まっているため、税務計算が簡素化され、確定申告の作成が容易に済むというメリットがあります。
また、サブリース会社が提携している税理士に相談することも可能です。
下記関連記事では、確定申告に必要な知識を詳しく説明しています。
相続税対策に有効
サブリース契約の締結は、相続税対策としても有効です。
税金の世界では「人に貸している」ことが資産価値を下げると考えられているため、アパートの入居率が高いほど、相続税額が低くなる可能性があります。
サブリース契約においては、入居率が100%の状態、つまり満室経営をしているとして相続税が計算されるため、相続時にかかる税金が少なくなります。
下記関連記事では、不動産投資が相続税対策におすすめである理由や活用する場合の注意点を紹介しています。
サブリース契約のデメリット
サブリース契約をするために、メリットだけでなくデメリットも知ることが大切です。
ここからは、サブリース契約におけるデメリットについて解説します。
収益性が下がる
オーナーとサブリース業者が「マスターリース契約」を締結するため、入居者から支払われる家賃がすべてオーナーのものになるわけではありません。
委託方式にもよりますが、毎月の家賃収入は賃料の80~90%程度です。
また、サブリース契約の内容によっても異なりますが、本来のアパート経営で受け取れる敷金や礼金、更新料などはサブリース業者に入るため、収益性が下がります。
賃料が保証されるのは契約期間だけ
サブリース契約のメリットは家賃収入が安定して得られることですが、この賃料が保証されるのは契約期間だけということは認識しておく必要があります。
多くの場合、サブリース契約では賃料の見直しが2~5年ごとに実施されます。
この見直しによって賃料が下がることは珍しいことではなく、更新するたびに家賃収入が減っていく可能性があることは頭に入れておきましょう。
入居者を選べない
サブリースを活用すると、サブリース業者が入居者の募集から審査、退去の手続きをおこなうことになるため、オーナーが自ら入居者を選ぶことができません。
入居者の情報や賃料について、オーナーへ情報開示する義務はないことに注意が必要です。
サブリース業者は、入居者の有無に関係なくオーナーに保証賃料を支払う必要があるため、入居者審査のハードルを低く設定している可能性もあります。
その結果、オーナーにとって好ましくない人が入居することもあるでしょう。
モラルのない入居者がいることで周りの住民に悪影響を与えてトラブルに発展するだけでなく、入居率の低下や家賃の引き下げにつながるケースも考えられます。
サブリース契約で過去に起きたトラブル事例と回避策
サブリース契約はメリットが多い一方で、トラブルの事例も少なくありません。
消費者庁でも、サブリース契約に関するトラブルの注意喚起をしています。
ここでは、実際に起きたトラブル事例と回避策を確認していきましょう。
賃料減額によるトラブル
【事例】
サブリース契約で賃料が保証されるのは契約期間だけです。
賃料は定期的な見直しがされるため「家賃の値下げを申し出された」と納得がいかない人もいるかもしれません。
【回避策】
まず、サブリース契約で永久の家賃保証はないことを念頭に置くことが大切です。
業者からの定期的な減額請求はあるものとして、サブリース契約を検討しましょう。
賃料が途中で下がるリスクを踏まえたうえで、対策を講じるようにしてください。
サブリース会社の倒産による家賃の未入金トラブル
【事例】
契約していたサブリース会社が倒産すれば、保証賃料が入ってこないトラブルです。
過去には、サブリース会社の倒産により訴訟問題にまで発展した事例もあります。
民間企業が運営している以上、未入金トラブルに遭う可能性はゼロではありません。
【回避策】
サブリース会社と契約する前に、財務状況に気を配ることが大切です。
社歴が浅いと経営基盤も弱くなりやすく、過去の実績などから判断しましょう。
家賃の不払いを防ぐためにも、大手のサブリース会社との契約をおすすめします。
修繕費用の負担を求められるトラブル
【事例】
サブリース契約では、基本的に賃貸管理をするのはサブリース会社です。
しかし、物件の劣化した箇所を修繕するための費用は、オーナー負担になることもあります。
大規模な修繕だと費用も高額になるため、請求内容に困惑するかもしれません。
【回避策】
修繕費用や退去後の原状回復費用の負担については、契約書に記載されています。
簡易的な修繕はサブリース会社が負担することもありますが、原則オーナー負担です。
内容を把握していないとトラブルにつながるため、契約時にしっかりと確認しましょう。
サブリース契約の解約に関するトラブル
【事例】
何かしらの事情でサブリース契約を途中解約したい場合もあるでしょう。
しかし、条件次第では途中解約が難しいケースもあります。
サブリース契約が不要になり解約したくても、スムーズに解約できないかもしれません。
【回避策】
修繕費用の負担と同様に、こちらも契約書に記載されていることがほとんどです。
借地借家法では建物の借主であるサブリース会社が保護されることが多く、いざ途中解約したくても円滑に進まないケースもあります。
オーナー側がどれだけ解約したい旨を伝えても、スムーズに解約できるとは限りません。
トラブル回避にはサブリース契約書の確認が重要
サブリース契約の仕組みを聞くと、安定した賃貸経営をおこなうことが期待できますが、その一方で、トラブルに遭うオーナーも少なくありません。
2020年12月に「サブリース新法」が施行され、サブリース業者はサブリース契約の締結前に、家賃や契約期間といった重要事項説明の義務化がされました。
リスクについても説明されるため、契約内容の誤認トラブルの減少が期待されます。
それでも契約内容をすべて把握したうえで契約締結できていないケースもあるため、トラブルを未然に回避するには、契約書の内容をじっくり読み込むことが重要です。
サブリース契約書をする際のチェックポイント
さまざまなメリットがあるサブリース契約ですが、トラブルも報告されています。
ここでは、トラブルを回避するためにチェックしてたい契約書のポイントを解説します。
家賃保証の割合はどれくらいか
サブリースでどれくらいの賃料が入ってくるのかチェックしましょう。
一般的に、家賃収入に対して80~90%程度の家賃保証率が設定されていますが、契約時には保証家賃の金額が相場と比較して適正かどうかを見る必要があります。
また、多くの場合は賃料の見直しによって家賃保証額は変化するため、将来的な家賃保証額の下落も見越して、家賃保証額が適切なのかを見極めてください。
家賃保証の見直しは何年ごとか
多くの場合、サブリース契約では2~5年ごとに賃料の見直しが入ります。
サブリース契約のなかには20年や30年など長期の契約期間を設定している場合もありますが、契約書には賃料を改定できる旨が明記されていることがほとんどです。
家賃の相場は市場の動向や建物の築年数により変化するからです。
思わぬタイミングで賃料が減額されると収支計画が大きく狂う可能性があるため、賃料の見直し時期と期間に問題がないか必ずチェックしておきましょう。
免責期間が設定されているか
サブリース契約の内容によっては、免責期間が設定されている場合があります。
アパート新築後や入居者の退去後に1ヶ月~半年程度で免責期間が設定されると、その間は入居付けをするための期間として、家賃保証をおこなってくれません。
そのため、サブリース契約でも家賃収入を得られないため要注意です。
オーナー側に不利な制度であることからも、サブリース契約を交わす際は中身をしっかりと確認し、免責期間の有無や内容を把握することが大切です。
リフォーム・原状回復の費用は誰が負担するのか
サブリース契約では、賃貸物件の修繕費用の一部をオーナー負担としていることが多いため、その範囲がどこまでなのか、契約書の記載事項を確認しましょう。
老朽化におけるリフォームや原状回復の費用について、事前にどのような取り決めか把握していなければ、突発的な負担が発生する恐れがあります。
このような修繕費用は、不動産投資の収支計画に大きく影響します。
いつどれくらいの頻度で修繕やリフォームが実施されるのか、どのくらいの費用がかかるのかだけでなく、キャッシュフローは成立するのかもシミュレーションしてください。
サブリース契約の解約条件や違約金はどうなっているか
サブリース契約を解約する際の条件も確認しておきましょう。
解約したくても「途中での解約ができない」「違約金が発生する」かもしれません。
契約時には以下の項目に関するチェックが求められます。
- 契約から解約できない期間はどれくらいか
- 契約を解除できる条件は何か
- 途中解約する際に違約金は発生するか
長期的な契約を見込んでいても、途中で考えが変わることもあります。
トラブルを防ぐためにも、解約条件や違約金の有無などの確認は重要です。
サブリース契約で失敗しない!サブリース会社の選び方
サブリース契約におけるトラブル事例は少なくありません。
少しでも安心して賃貸経営をするためには、どのサブリース会社と契約するかは重要です。
ここでは、信頼できるサブリース会社を見極める3つのポイントを解説します。
契約書の説明をしっかりしてくれる
トラブル回避のためには、契約書のチェックが欠かせません。
とは言っても、サブリース契約が初めてだと、専門用語ばかりでわからないこともあるでしょう。
しっかりと契約書の内容を説明してくれるかどうかは、重要なポイントです。
すべての情報を明確に開示してもらえるのかを見極める必要があります。
また、質問に対する担当者の態度や答え方なども検討材料の一つです。
経営状況が安定している
どれだけ魅力的な契約内容でも、サブリース会社が倒産すれば意味がありません。
長期的に安心して契約できるのか、企業の財務状況も確認しておきましょう。
上場企業でない限り決算状況の確認は難しいですが、口コミなどからも判断できます。
たとえば、転職の口コミサイトで悪い内容が目立つようなら、避けたほうが賢明です。
正確に分析する自信がなければ、上場企業に絞るのも一つの手です。
中長期の事業計画が立ててもらえる
賃貸経営では目先の利益ばかりを追わず、中長期的な計画立てが大切です。
また、現実的な数字をシミュレーションしながら、対策を講じる必要があります。
大前提として、入居率が100%近い状態を維持し続けることは困難です。
もし、高い入居率を軸に事業計画を立てているサブリース会社とは、契約を避けたほうがよいでしょう。
より現実的かつ、中長期の視点で事業計画を立ててもらえるかがポイントです。
サブリース契約に関するQ&A
サブリース契約に関してよく寄せられる質問をQ&A形式で紹介します。
この機会に、サブリース契約に関する疑問を解消し、より理解を深めておきましょう。
サブリース契約に向いているのはどんな人?
サブリース契約は注意点が多く、確認を怠れば失敗する可能性が高くなります。
すべてを相手に委ねるのではなく、適切な取捨選択ができる人に向いています。
正確に判断するためにも、情報収集は欠かせません。
サブリース会社の提案を受け入れてよいのか、しっかりと見極められるかがカギとなります。
受け身がちな性格の人は、サブリース契約を検討し直すべきかもしれません。
サブリースの法改正で何が変わった?
2020年12月施行の「サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約(特定賃貸借契約)の適正化に係る措置」において、以下のような規定が法律に盛り込まれています。
- 誇大広告の禁止
- 不当な勧誘行為の禁止
- 特定賃貸借契約締結前の重要事項説明
- 契約締結時の書面交付
先に紹介した重要事項説明の義務化だけでなく、不当な勧誘行為の禁止など、サブリース契約にまつわるトラブルの減少が期待できる内容になっています。
アパートとマンションのサブリース契約の違いは?
サブリースはアパートやマンションに関係なく契約可能です。
ただし両者には違いがあり、アパートのサブリースは一棟丸ごと借り上げるのに対して、マンションのサブリースは一部屋ごとに借り上げるのが一般的です。
そのため、ワンルームマンション投資でサブリースを利用するケースもあります。
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まとめ
サブリース契約はデメリットの多さからマイナスなイメージがつきがちですが、上手に活用すれば安定した家賃収入が得られるといった成功例も少なくありません。
2020年12月に施行されたサブリース新法によって「重要事項説明の義務化」や「不当な勧誘行為の禁止」など、オーナーのメリットとなる法律が盛り込まれています。
また、トラブル回避のためにも、契約内容をしっかりと確認しましょう。
それでも不安な場合は、信頼できる不動産会社に相談することをおすすめします。
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