【保存版】国交省の原状回復工事ガイドラインが見直しされました!
こんにちは。
中山不動産株式会社です。
アパートやマンションなど賃貸住宅を契約するとき、敷金礼金が掛かる事を知っている方も多いですが、その存在を疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
退去・引越し後の敷金が返金されないことや、曖昧な原状回復工事の問題を多く目にするからです。
そんな多発する退去時トラブルを少しでも減らすための国交省が定めた原状回復のガイドラインが有りましたが、2020年4月に更新されました。
この記事では、大きな内容更新により、さまざまな変化が出るものですが、どう変わったのか確認できます。
最新版のガイドラインで変わった部分
1998年に国交省が定めたガイドラインはアパートやマンション、一戸建て等の賃貸住宅における敷金や原状回復の退去時トラブルを防ぐためでした。
民間の賃貸住宅を対象に、誰がどんな割り合いで原状回復や修復の負担をするのか定義されてます。
今に至るまでに2004年と2011年の2回見直され、最近では2020年の4月の民法改正に併せて変更されました。
見直された最新版を簡単に説明すると、「敷金は家賃の滞納やガイドラインに照らし合わせて当てはまるもの以外は返して貰えますよ」といった内容です。
詳細はこちら
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000021.html)に詳しく記載がありますので、見てみてください。
特に注目すべきは、原状回復=借りたときのように元に戻すのではないと、しっかりと記載があります。
新築の物件を借りたからと言って新築に戻せませんし、時間の経過とともに劣化するものはオーナーの負担なのです。
通常、家を借りて何年も生活すると、それは誰が暮らしていても劣化する部分が出るのは当然で、それが経年劣化です。
住んでいるとクロスの目地が空いてきたり、床や建具が色あせたりしますが、それは時間が経てば当然起こり得る事なので、誰が住んでいても避けられないですし、空き家でも同じですが、以前はこれらの原状回復も借主のコストだった時期が有りました。
今はオーナーのコストだと書いてあるので安心です。
※わざと傷をつけたり、うっかり物を落としてしまい、傷や汚れがついてしまったり、借主が掃除をしないなど、管理が悪くて劣化した箇所は借主のコストなので覚えておきましょう。
そして、仮に修正・是正する工事があっても、可能な限り工事を少なくして代金を抑えるように、書いてあります。
ひとつの部品が壊れたからといって全てを取り替えず、最小限の交換をしてください、という事です。
給湯リモコンが故障したのに、給湯器ごと交換するのは適切ではない、といった判断ですね。
最後に適用される時期ですが、改正は2020年4月にされましたが、それ以前に契約して住んでいる人は何を根拠にして対応をするのでしょうか。
まずは契約書の内容を優先して、曖昧な部分はガイドラインを確認しつつ内容のすり合わせしましょう。
敷金ゼロ住宅が増えた?最新版のガイドラインが与えた影響
2020年の民法改正に併せてガイドラインが見直されましたが、その影響で敷金ゼロ住宅が増えたそうです。
入居時に敷金を預かったとしても、多くを返金するように定められたことが理由で、どうせ返すのなら、そもそも受け取る必要がなくなったからですね。
これまでの敷金をどうやって使ってきたのか不透明で曖昧なことで多くの問題が生まれたので、今後は減ってくると考えられます。
その代わり、部屋の掃除代金を借主が支払う特記事項や、メンテナンス・修復の代金を負担する特記事項が契約書に入ってくるようになりました。
具体的な項目を挙げてそれを追記するのは、敷金から特記事項で掛かるお金に形を変えただけになってしまい、せっかく改正しても意味がなく感じますよね。
ですから、「ガイドラインの見直しではちゃんと対策をしていて、本来オーナーが負担すべきコストを借り手のコストにするのは内容によっては無効になるかもしれません」と記載が有ります。
とは言え、完全に大丈夫でもないですし、特記事項が存在するときも有りますが、内容に疑問があったら指摘してみるのも良いでしょう。
また、改定の影響で、原状回復について細かく説明して、しっかり負担割り合いの線引きをする業者も増えてきました。
従来の契約行為に比べて説明や確認が増え長くなりますが、お互い納得した上で契約を進めるのは、とても大切で全ての契約において有るべき姿です。
将来起きるかもしれない問題の回避、何か起きたときに対処法を明文化するのも同じなので、しっかりと説明を聞いておきましょう!
もし、不明瞭な項目や理解ができない部分や疑問点があるならば、別の不動産会社に相談するのも良いことなので、頭の片隅に置いておくと良いかもしれません。
事例別でどう変わったか確認しましょう
『冷暖房の故障や雨漏りの対応』
もし夏場や冬場に冷暖房が故障し、メンテナンスや交換をオーナーや不動産会社に求めたけれども対処して貰えなかったときはどうしたら良いでしょうか?
昨今の夏場の猛暑や冬場の寒さでは命に関わりかねません。
雨漏りも同じく、台風シーズンや梅雨時に雨漏りがあると困ってしまうので、一刻でも早く直してほしいですね。
改正前ではこれらを借主が対応して良いのか規定は有りませんでしたが、改正後は明確になりました。
冷暖房のメンテナンスのように壊れていると通知したときや、メンテナンスが必要だとオーナーが知ったけれども時間がたっても対応できないときは借主がメンテナンスしても良くなりました。
雨漏りの事例でも、緊急性があるときは借主が対応しても良くなりました。
それにより勝手にやったのだからと代金は借主のコストで、という事もなくなります。
『クロスの色あせ』
クロスの日焼けによる色あせは経年劣化ですが、以前はクロスの張り替え代金を請求があったりと、改正前は曖昧でした。
改正後では普通の使用や経年劣化の影響は借主が直さなくても良いと明記が有ります。
クロスの色あせや家具の設置による床への跡、テレビなど家電周辺の壁に見られるヤケも同じで、他には地震によって窓ガラスが割れたり、玄関の鍵交換もオーナーのコストとなります。
借主のコストで直すのは、荷物を運んでぶつけた壁や床の傷や、お部屋の掃除不足が原因の汚れ、煙草の煙によるヤニ汚れや煙草の臭い、ペットを飼って発生する汚れや傷、残った臭い等です。
通常の使用や経年劣化はオーナーのコストで、それ以外は借主のコストとおぼえておくと良いでしょう。
『保証金』
賃貸住宅の中には保証金が契約時の諸費用になっている場合があります。
保証金は家賃を滞納したときに充てられたり、借主負担の修復など敷金と同じ使いみちになるのですね。
これらも改正前は明確な定義が有りませんでした。
改正後はどんな名称だとしても、先述した理由で預かったお金は全て敷金として定義されます。
保証金だから返却しないという事はなく、借主が行わなくてはならない原状回復や、家賃の滞納があれば滞納額に当てて敷金の同じように使いましょう、となりました。
いつからの契約に対し適用されるの?
もし、2019年から2年間の契約をしたら、民法が改正された2020年4月をまたぐので、敷金が返されるのでしょうか?
残念ながら。2020年4月以前の契約は、変更前の以前の民法を適用するように経過措置が定められています。
なので、新しい民法の適用、ガイドラインに従うのは2020年4月以降の契約だと覚えておきましょう。
以上のように民法が改正された影響で、敷金の内容が変更されてます。
まとめ
今回の原状回復工事ガイドライン見直しにより、国交省や法務省からも冊子が配布されてますし、ホームページなどでも説明が有ります。
敷金の取り扱いについて、今まではオーナーや不動産会社独自の風習で、不透明な部分も多かったように思われます。
民間資格ですが、修理代金が適正かアドバイスして退去時の代金を抑える手伝いをする敷金診断士の資格に多くの需要がありました。
今後は民法改正のお陰でそんな問題が減っていくことが想定されるので安心ですね。
とは言え、全て不動産会社任せにせず、自分自身でも知識を蓄えてゆきましょう!
ガイドライン
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000021.html)に詳しく記載がありますので、見てみてください。
収益不動産の購入・売却のご相談はこちらから
お問い合わせ